啓蟄

今日は啓蟄。冬籠りの虫、声を啓く時だそうです。
みるみる日照時間が長くなり、寒さも和らいできたような気がします。しかし今年の「木匠塾」に春は来ません。「木匠塾」は今期限りで閉校となり、後輩となる新入生がいないということです。在校生の一人として残念でなりません。閉校の理由は「木匠塾」ホームページに詳しく述べられていますが、一言で言えば「生徒不足」ということです。

なぜ大工のなり手が少なくなったのでしょうか?

ほんの1年、建築をかじっただけでたいへん僭越ですが、少し感想を書いてみます。
最大の原因は大工の地位が低いということです。
もともと大工の名称は1軒の建物を建てるときその職人群のトップに立ち、すべてを差配する最高指導者から生まれた言葉です。しかし現在はプレカットが普及し、大工の仕事は工程表のひとつの人工に埋もれ、主体性も創意工夫の余地も少なくなっていきました。建築基準法の規制による金物の多用も意欲を失わせるひとつかもしれません。大壁工法の普及も木造技術の伝承、向上を妨げているような気がします。
そしてなにより、収入が安定しないことがあげられます。大部分の大工は日給月給で退職金も保険も充分とはいえない状況でしょう。また施主さんとの関係では、請負契約での立場の弱さもあります。
加えて高価な道具類も自己負担となります。
業界内では古い徒弟制度の因習も残っていて、これが自ら近代化を阻んでいるとも感じます。

しかしこれら逆に言えば、職人として独立する棟梁としてのリスクといえば言えそうです。ほんとうに触りだけですが、長年の経験や師匠から代々伝えられた技術。木の気持ちを大切にし、道具を自在に使い木と対話しながら仕事を進める大工と呼ばれる人にしかできないものをこの1年で見せていただきました。「木」の文化は日本人の原点でありけっして廃ることはありませんし、再び見直されてきます。施主さんと信頼関係を築き、思う存分腕を奮ってひとつの建物を作っていくことができれば、その喜びはかけがえのないものでしょう。

原子力に代表される現代科学文明がおおきな曲がり角にきて、大量生産・大量消費に替わって、スローライフや持続可能な社会の実現が叫ばれています。キーワードは「ほんもの志向」「(自給自足はちょっと無理なので)地産地消」「癒し」です。ドイツのマイスターのように職人が地域から尊敬され、誇りをもって生き生きとその道を極めていけるような社会がきっとくるはずです。

11期生もいよいよ卒業間近。
木匠塾の若い虫たちが長い冬を越して世に顔を出し、声をあげます。
どうかよろしくお願いします。

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虫の絵が撮れなかったので、土から芽を出す「ふきのとう」でごかんべんを(のぼちゃん)

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by mokushojuku | 2012-03-05 23:59 | 木匠塾
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