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プリンセス・トヨトミ

 今日は渡辺先生の宿題である感想文の提出日でした。夏休みが終わる前日のブルーな気分でした。
 感想文といえば、最近、めっきり本が読めなくなりました。原因は老眼の進行と、長時間の電車通勤がなくなったこと。そしてなにより大工実習の肉体的な疲労で、睡魔に勝てないことでしょうか。正月の日記には最低週1冊のペースと書いたのですが、日記も読書も三日坊主で、今は教科書を読むのに四苦八苦の毎日です。
 さて今年の本屋大賞は「謎解きはディナーのあとで」(東川篤哉・小学館)でした。本屋大賞は全国の書店員さんが一番面白かった本、薦めたい本を投票で決めるもので(そのためのNPOが設立されているようです)軽いが、けっこうあたりはずれなく面白いので受賞作は必ず読むようにしています。03年の第1回大賞は小川洋子の「博士の愛した数式」(新潮社)で、昨年は沖方丁の「天地明察」(角川書店)でした。お勧めは07年の「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子・講談社)と08年の「ゴールデンスランパー」(井坂幸太郎・新潮社)です。まだ読んでいないという方はお貸ししますので、ぜひご一読を。くだんの「謎解きはディナーのあとで」はちょっと軽すぎて微妙???
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 「謎解きは・・・」と同時に衝動買いしたのが、今、映画で話題の万城目学「プリンセス・トヨトミ」(文春文庫)です。こちらはめっぽう面白い。物語の重要なディテールがあの鹿鳴館を設計したイギリス人建築家ジョサイア・コンドルに師事し、あの工部大学校造家学科(東大工学部建築学科)を主席=といっても同級生は5人だそうな=で卒業、あの日本銀行本店や東京駅を設計した、日本近代建築史にはなくてはならない、そう建築概論に出てきた、あの「辰野金吾」なのです。辰野は大阪にも設計事務所を構え、中之島の中央公会堂や日銀大阪支店など大阪の町には今もたくさんの辰野建築が残っているそうです(文庫版の巻末エッセー「なんだ坂、こんな坂、ときどき大阪」に詳しい)。その辰野建築の古いビルディングの中にある社団法人OJOに会計検査院の3人の検査官が監査に入ることに・・・(あとは読んでのお楽しみということで)。
 転勤で2年半ほど大阪に暮らしたことがあります。大阪弁、あの独特のお笑い世界、東京なにするものぞという対抗意識、大阪のおばちゃんに代表される庶民感覚、粉もの文化(いまひとつ馴染めない「大阪」ですが)、「プリンセス・トヨトミ」はそうした「大阪」を見事に表現し、荒唐無稽なお話にもかかわらず、さもありなんと思わせる説得力がありました。大阪にいるときに読んでいたら、そして辰野金吾を知っていたら、もう少し大阪の町に興味がわき、生活の幅も奥行きも広がっていたかもしれません。残念。    (Byのぼちゃん)


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by mokushojuku | 2011-06-21 12:32 | 日々の生活
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