建築は学問の箱庭

 昨日のゆうさんが紹介していたとおり、木匠塾のカリキュラムは午前中に座学、午後は実習というパターンで進みます。1ヵ月たち先生方のペースも徐々に上がってきました。今日はその座学の感想をひとつ。
 大工の仕事は、木を刻んで柱を立て、屋根を付けてあとは適当に内装と漠然と考えていたのがおおきな間違いでした。実にたくさんの先人の英知と多彩な理論の(そして不可解な規制の)裏付けがあってひとつの建物ができあがっていることに驚かされています。まず、自然科学の分野では、断熱や結露などの熱関連、採光や照明といった光関連。日影曲線というのも出てきました。風量や換気、音響。物理学のオンパレードです。コンクリートや木、鉄などの物性も関連してきます。地震といえば地学だし気温や気候は気象学かな。次は化学。木の成分はリグニンだとか、アルカリ性がどうのこうの。
 文系では建築基準法に代表される法律学。そして経済学も重要な要素でしょう。また社会学や心理学、家政学や教育論にも関係してきそうです。ふと気がつくと歴史のお勉強で、法隆寺やローマ時代の建築様式に至り、当然に文化人類学とか民俗学につながっています。
 デザインや意匠、色彩といった美術的な素養も必要。昨今、環境論も無視できません。えとせとら、えとせとら。
 こうして考えてくると「建築はあらゆる学問の箱庭だ」といっても過言ではないでしょう。衣食住は有史以前から人間が営々と行ってきた基本行為であり、あらゆる科学が、人が豊かに生きるためにあるとすれば、当然といえば当然の結果なのかもしれません。
 あまり関係ないのは政治や文学や哲学、生物学、水産学、宇宙論ぐらいでしょうか。まてよ、哲学はどうかな。人間いかに生きるべきかは「いかに住まうべきか」に通ずるかも。宇宙ステーションの建設となるとやっぱり建築か。規制や政策に絡めば政治学もか。むむむ。

閑話休題
 この箱庭のような広い専門分野をほぼ一人で教鞭をとっていただいているのが石田塾長です。その知識の豊富さと見識の高さに圧倒されるばかりです。建築士の皆さんにとっては常識の域なのかもしれませんが、これから門を叩こうとする者にとってはその広さと深さにたじろぐのみです。
 そして、今、とりわけ悩ましいのは、「構造力学」の授業です。こちらは数学でしょうか。たかだか加減乗除の四則計算と1次方程式くらいのレベルなのです(多分その奥には微分積分の世界が出現するのでしょう)が、曲げモーメントやらヤング係数やら、応力、反力、σやΔなんて出てくると拒否反応で脳はメルトダウン。石田先生は、涼しい顔でいとも簡単にすらすらと解説していきます。こちらはひたすら当たらないことを祈って、といっても生徒5人なので限界があるのですが、目を合わせないようにする苦難の毎日が続くのでした。

【構造力学概論の教科書】
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Byのぼちゃん

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by mokushojuku | 2011-05-17 12:37 | 木匠塾
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